丸善本社

丸善本社

竣 工:1910(明治43)年 発注者:丸善(現 丸善雄松堂) 設計者:中村達太郎、佐野利器 施工者:清水満之助店(田邊淳吉) 所在地:東京府東京市日本橋区(現 中央区)

開港後間もない横浜で1869(明治2)年に創業し、新しい知識を得たい人々に洋書や文化雑貨を紹介・提供してきた丸善は、明治期の市区改正に伴う道路拡幅を機に本店を新築した。設計は東京帝国大学の工学博士 中村達太郎と、のちに建築構造学の泰斗となる工学士(当時) 佐野利器に依嘱された。我が国初の本格的な鉄骨造ビルディングであり、回転する台に支柱と斜めに突き出したジブ(腕木)をのせ、ジブの先端からロープを下ろして荷物を吊り下げるいわゆるジブデリックを使用した施工も我が国初であった。関東大震災においては地震動では倒壊せず、火災侵入により焼失したが、新たな構造形式の優位性を示す先駆となった。 震災時に東京帝国大学教授であった佐野は、帝都復興院理事・建築局長、東京市建築局長も歴任し、1929(昭和4)年から3年間、渋沢栄一からの勧めに応じて当社副社長を務めた。